医師として患者様への最大の思いやりは、やはり、身体的・精神的な負担を少しでも軽減してあげることではないかと思います。たくさん会話をしたり笑わせたりして、患者様の治療に対する恐怖心を和らげるようにしていることも「医師としての思いやり」のひとつかと。
また、細かいことを例にあげると、診療ユニットに座ったときの枕の位置には気を使っています。噛み合わせと頚椎の観念からも枕の位置は重要ですし、首と頭がしっかりサポートされていないと、すごく居心地が悪いものなんです。首が苦しくなったり肩が凝ったりしないよう、頚椎の位置の安定に留意しています。
治療においては、年配の患者様から「本当に親切にしてくれてありがとう」という感謝の言葉をいただくことがあります。「噛み合わせが良くなっただけじゃなくて、年寄りなのに審美的にもケアしてくれてありがとう」など。
入れ歯や歯は、ちょっとしたことで顔の印象を大きく変えるものなんです。特にご年配の方の場合は、入れ歯を入れることで口の周囲のシワが伸びたり、輪郭が整ったりするので、美容面の影響もとても大きいんです。だから「噛めればいい、使えればいいというわけではない」と考えています。
年齢ではないんです。誰だって、いつまでも、少しでも、美しく若々しくいたいと思っているはずなんです。そういう思いで仕事をすることによって、患者様の表情が明るくなり、笑顔で帰って行かれるのを見るのが、本当にうれしいです。
また、衛生士のクリーニングを受けた方なんですが、いつもは無口でまったく話さない年配の男性が「気持ちよかった、さっぱりしたよ。」と言ってくださったことも。それだけでも、本当にうれしくなります。
それから、思いやりというよりも「親しき仲にも礼儀あり」ということになるかもしれませんか、治療中以外のときに患者様と話をする際には、マスクを外すようにしています。また、治療内容によって診療の順番が前後したり、少々お待ちいただくときなどは、事前にきちんとご説明や謝罪をするようにしています。