歯周病治療
- 自覚症状がないまま進行する恐ろしい病気
- 歯周病の治療について知っていただきたいこと
- 病気の進行度は次のように判断します。
- 当院でのこだわり治療
- 歯周病治療の目標とは
- 先生から歯磨きについての質問
- Q1.一日に何回歯磨きしますか?について
- Q2.1回につき何分くらい歯磨きしますか?について
- Q3.歯ブラシは何週間(何ケ月)位で交換しますか?について
- Q4.歯の表側と裏側を何対何くらいでみがきますか?について
- Q5.前方の歯と後方の歯を何対何くらいでみがきますか?について
- Q6.歯ブラシの柄をギューっと握っていますか?それとも軽<握っていますか?について
- Q7.歯のどこを狙って磨いていますか?について
- Q8.どこのメー力一の何と言う歯ブラシ、歯磨き剤を使っていますか?について
自覚症状がないまま進行する恐ろしい病気
歯周病とは、歯垢に含まれている『歯周病菌(細菌)』に感染して起こる感染病です。
歯と歯茎の間に炎症が起き、進行すると歯茎が腫れたり出血したり、歯茎の下にある骨が溶けてしまい、最終的には歯が抜けてしまいます。
初期の歯周病には自覚症状がほとんどありません。そのために気づいていない方が多いだけで、実際には日本人の成人の約80%が歯周病にかかっていると言われています。
このような症状に心当たりはありませんか?
- 歯茎の色が赤い
- 歯磨きをすると出血する
- 口臭がする
- 歯と歯の間に隙間ができた
- 歯が長くなった気がする
- 冷たいものがしみる
- 歯が浮いたような感覚がする
- 膿が出る
- 歯がグラグラする
上記のような症状が1つでもあれば早めにご相談ください。
歯周病の治療について知っていただきたいこと
☆歯を支えている骨は、一旦溶けてしまうと二度と元には戻りません。
もしも溶けた骨が元の状態に戻るならば、それは再生と呼ばれる現象であって切断された指がまた生えてくるような現象に近いことです。
このために歯周病は一見治ってように見えても、歯磨きを怠ったり定期検診をしなかったりすると再び発症し、歯を支えている骨を損失してしまい、歯周病がまた一段階進行してしまいます。
☆歯周病で歯がグラグラして抜けてしまうと、両側の歯を削ってブリッジと言われる冠を入れるようになります。
しかし、お口の中の管理を怠ると知らぬ間に歯周病が進行してしまい、せっかく治した歯を再治療したり、場合によっては入れ歯を装着しなければならなくなることがあります。
病気の進行度は次のように判断します。
歯と歯茎の間のポケットと呼ばれる溝の深さ、歯の揺れや検査に伴う出血の測定、レントゲン撮影を行い検査をします。
ポケットの深さ
●2~3mm 健康
●4mm 軽度の歯周炎
●5~6mm 中等度の歯周炎
●7mm~ 重度の歯周炎
当院での歯茎の検査を受ける時には、歯科衛生士が○mm と読んで測定データを記録しますので注意し
て聞いてみてくださいね。患者さんも歯茎の状態がわかると思います。
当院でのこだわり治療
①歯磨き
歯周病や虫歯予防ではなく、患者さん自身が行う治療です!
歯の豆知識をご参考ください。
読むと歯磨きがとても上手になります。
②除石
スケーリング、歯の掃除などとも言います。
歯科衛生士が行う大変重要な治療です。
痛くないように、目に見えないところまで歯を綺麗にします。
歯茎よりも上についている歯石と歯茎の中についている歯石に分かれます。
(歯茎より上についている歯石)
肉眼で歯石を確かめながら取り除いていきます。比較的硬くないため、スピーディーに綺麗にすることができます。
(歯茎の中についている歯石)
歯茎の中にある歯石は、肉眼で見ることができません。歯石の凹凸を器具の先で探りながら、歯石を取り除いているため、高度な技術と集中力が必要です。しかも歯石は硬く、ポケット深くにあります。歯石を取り残すと、歯周病は改善されません。
また歯の根の面を傷つけてしまうと治りが悪くなってしまいます。
当院では、機械で歯石を取る場合には歯を痛めぬよう最小限のエネルギーで、細心の注意を払い歯石を取り除いています。また機械で取りきれない場合は、先端の細い器具を何種類か使用し、取り除いています。大変難しい治療です。
この処置では患者さんが痛くならないように、局所麻酔下で行う外科処置です。通常、患者さんのお口を6ブロックにわけ、全体で6回の治療回数となります。再び検査をして歯石が残っているようならば、再度除石を行うか、歯茎を切開し肉眼で直視できる状態にし、除石を行う手術を必要とする場合があります。
当院では、タイミングを見計らい、必要な方に最小限の手術を行っています。
除石だけでも十分な効果が得られるよう、消毒効果のある洗口剤や抗菌剤を使用することもあります。
また、薬剤が唾液によって流されないようにマウスピースを作り、その中に薬剤を入れて歯に装着することで長時間作用させることができるドラックデリバリーシステムをお勧めする場合があります。
歯周病治療の目標とは
前述しましたように、歯周病に罹患すると若かった頃の状態には戻りません。
治療の目標は、健康で安定した歯茎になることです。
- 歯茎の色が健康的なピンク色になり、腫れもなく引き締まっている。
- 歯の揺れが軽減されている。
- 口臭がなくなる
- 痛みがなくなり、膿が出なくなる。
もしも歯磨きをやめてしまえば、歯周病は4〜5日で後戻りしてしまいます。当院の患者さんは完璧な歯磨きをする方が多く、健康で打たれ強い歯茎をしています。
歯周病の治療を行わずに歯を抜いて、インプラントを植立する治療が多くなってきているようです。歯周病の歯の間にインプラントを植立することは、長期間の安定した状態を維持することが少し難しくなります。インプラント周囲炎の罹患率は高く、やはり歯周病とともに徹底した管理が必要になることを覚えておいてください。
歯槽膿漏で、もし歯が一本抜けると、両側の歯を削り、3本組の歯を作ることになります。
また、二本抜けてしまうと、その両側の歯を削り、合計で4〜6本組の歯を作ることになり、歯を失うたびに大がかりになっていきます。
このため、なんとか歯槽膿漏をストップし、安定させた状態で長く歯の機能を保たせたいものです。
①歯磨きをしっかりすること
②歯科医院でお掃除をしてもらうこと(スケーリング)
通常の予防管理は上記の通りで良いのですが、重症になってくると
③抗生物質を併用する(歯周内科)
④歯周外科治療をする
この方の場合は、③までの治療で、手を尽くしましたが、来院の間隔がやむを得ず長くなってしまい病気が進行しました。このため④歯周外科をする時期を逃してしまい、両側の歯に炎症が波及する可能性があり、残念ながら抜歯させていただきました。
前歯のブリッジをセットして、これから長く使っていただけるよう、歯周組織の管理を患者さんと二人三脚でやっていく予定です。
この方の場合、他の場所にもブリッジがありますが、15年間全く問題なく使っていらっしゃいます。
健康で安定した歯茎を維持するためにも、毎日の歯磨きを頑張ってくださいね。そして当院での定期的な検査で、患者さんが自立できますように応援しております。末長くお付き合いください。
先生から歯磨きについての質問
患者さんの歯磨きの問診をして、回答を総合的に判断します。
回答を頭の中で考えておいて、読み進んで<ださい。しっかり理解し、実行すれば、歯磨きが上手になりますよ!
Q1.一日に何回歯磨きしますか?
Q2.1回につき何分くらい歯磨きしますか?
Q3.歯ブラシは何週間(何ケ月)位で交換しますか?
Q4.歯の表側(頬、唇側/赤ライン)と裏側(舌側/青ライン)を何対何くらい(例えば5対5とか6対4とか)でみがきますか?
Q5.口の中を前方(赤丸)と後方(青丸)に二等分するとして、前方の歯と後方の歯を何対何くらいでみがきますか?
Q6.歯ブラシの柄をギューっと握っていますか?それとも軽<握っていますか?
Q7.歯のどこを狙って磨いていますか?噛み合わせ面(赤丸)、歯の側面(青丸)、歯の根元(黒丸)?
Q8.どこのメー力一の何と言う歯ブラシを使っていますか?何と言う歯磨き剤を使っていますか?
患者さんの歯磨きの問診をして、回答を総合的に判断します。
お口の中を拝見して、きれいになっていれば良いのですが、一生懸命磨いたつもりでも、大事なところが磨けていないケースもあります。
質問に対する正しい回答は1つではなくて、皆さんに毎日手間のかかる歯磨きを、意識してもらい、能率よく、効率よく、有効に歯磨きするための、注意点をお教えしましよう!
Q1.一日に何回歯磨きしますか?について
食事の時に使っているお茶碗や箸は、食べ終わるたびに、きれいに洗いますよね。
歯は、お茶碗や箸よりも身分が高いので、毎食後必ずきれいに磨きましよう。
朝起きて、歯磨きする習慣も良い習慣です。しかし、食前よりも必ず食後にきれいにしましよう。
昼食は外出先で食べることが多いと思います。
日本では、レストランや食堂で洗口コーナーがないところが多く、歯磨き したくてもできない場合も多いです。
口をゆすぐだけでも、心がけておきましょう。
朝昼晩の歯磨きの中で最も大切な歯磨きはタ食の後です。
夜寝ている時には、唾液の分泌が少なくなるので、虫歯や歯槽膿漏が進行しやすくなります。
お酒を飲んだ後も、必ず忘れずに歯磨きしましょう。
歯磨きした後に、お菓子や夜食を食べてしまったら、もう一度歯磨きしましよう。
Q2.1回につき何分くらい歯磨きしますか?について
歯磨きが上手な人下手な人、プラークの多い人少ない人。それぞれ必要な時間は異なります。
私たち歯科医師、歯科衛生士が歯磨きできているかどうかを判定する基準は、1本1本の歯の表側・裏側・前側・後側の4面にプラークが残っているかどうかを見ています。
歯は全部で28本ありますから、4面×28本=112面のうち何面汚れているかをチェックしてスコアを出します。
できれば、全ての面をきれいにしてもらいたいのですが、汚れた面は20%以下が目標です。
2~3本一緒にまとめて磨こうとしたら、このような目標は難しいでしょう。
全ての歯を3分間(180秒)で磨くとしたら、一本当たり5~6秒できれいにしなければなりません。
Q3.歯ブラシは何週間(何ケ月)位で交換しますか?について
自分の使っている歯ブラシの毛を、背面の柄の方から見て、外側に広がっていたら明らかに替え時です。
たとえそうなっていなくても、歯ブラシの毛のナイロンがへタってくるので、少なくとも1カ月で交換したほうがよいでしよう。
Q4.歯の表側と裏側を何対何くらいでみがきますか?について
ほとんどの方は洗面所の鏡の前で歯磨きしていると思います。
日常生活の中で歯磨きの優先順位は低いので、鏡で歯を見て、汚れが取れていたらオッケーと判断して歯磨き終わりにする人がいます。
また、他の考え事をしていて、ざっと一通り磨いたらおしまいにする人もいます。
患者さんの歯の表側と裏側比べると、ほとんどの人が裏側に、より多くの磨き残しが見られます。
表 側と同じ位にきれいにするためには、裏側を多く磨く意識が必要です。
例えば6対4(稀に7対3) で裏側を長めに磨いてください。
Q5.前方の歯と後方の歯を何対何くらいでみがきますか?について
Q4と同様にほとんどの人が後側(奥側)に、より多くの磨き残しが見られます。
前側と同じ位きれいにするためには、後側(奥側)を多く磨く意識が必要です。
例えば6対4(稀に7対3)で後側を長めに磨いてください。
Q6.歯ブラシの柄をギューっと握っていますか?それとも軽<握っていますか?について
ブラシと言う言葉から、石やタイルような硬いものを力を入れて磨くイメージがあるようです。
歯ブラシをギューっと握ると、歯を磨いたときに毛先が開いてしまい、却って汚れが落ち なくなります。
例えば、篇(ホウキ)は、床に押し付けると、役に立ちません。
指先で軽く握って、掃くイメージで歯磨きしてください。
毛先を歯の面に直角に当てて、軽い力で掃くと、よく落ちます。
Q7.歯のどこを狙って磨いていますか?について
成人の歯は、噛み合わせ面から虫歯が発生する事は少ないです。
虫歯や歯槽膿漏の好発部位は歯と歯茎の境目、そして歯と歯の間です。
ですから、歯の頭の方をしっかり磨くのではなくて、 歯の根元の方をしっかり磨いてください。
私たち歯科医師、歯科衛生士の歯磨きのチェックポイントもこちらを見ています。
Q8.どこのメー力一の何と言う歯ブラシ、歯磨き剤を使っていますか?について
テレビなどで見かける歯ブラシのコマーシャルは、販売を目標としたものなので、変わった形で、よく汚れが落ちそうなものもあります。
しかし、実際には使いづらいです。
ブラシの部分も大きすぎて、歯列にうまく適合しないものもあります。
通常の形・大きさのもので、ふつうから 柔らかめの歯ブラシをお勧めします。
歯科医院で見せてもらうとお勧めできるかどうか判定しやすいですよ。
歯磨き剤もテレビのコマーシャルで見かけるものは、効果がオーバーに表現されすぎているようです。
洗剤の1種なので、販売を目標としています。
歯磨き剤を使ったほうが、使わないよりも汚れがよく落ちると思いますが、薬の効果なども過信しないでください。
歯磨きのポイントは歯ブラシで歯についた汚れをしっかり落とすことです。