この患者さんは、前歯が黒いのを気にして来院されました。
人と話をしたり、にっこりしたりすると、歯が目立ってしまうので、困っていたそうです。
歯の色を決めるには、隣の歯にあわせるだけでなく、肌の色も考慮に入れます。色の三要素として明度(明るさ)、彩度(鮮やかさ)、色相(色合い)を歯のガイド(色見本)を見ながら患者さんと一緒に決めていきます。
歯はオレンジ色の系統ですが、色のガイドをじっと見ていると、網膜の細胞が疲れて、逆にわからなくなってしまうことがあります。補色の青や緑を見てから、さっと歯の色を決めるのがコツです。
人の視線は両眼と上の前歯を結んだ三角形の内側に集中するといわれています。
前歯は上の歯の方が下の歯よりもやや白く、年配の人よりも若い人の方が白く見える傾向があるのです。
歯の色を細かく見ていくと、歯の先端から根元の方にいくにつれて、僅かなグラデーションがあり、決して一様な色ではありません。また平坦に見える歯も解剖学的には微妙な凹凸があるのです。
患者さんが歯の治療に大変満足してくださったとしても、歯を長持ちさせるためには、奥歯がしっかりしていないと、前歯に負担がかかり、歯が破損する場合もあります。
歯の美しさは総合的な歯科治療の結果です。
歯を大切にしましょうね!